電子回路わからん日記

にゃーんと言いながら電子回路いじってます

電気設計として新卒入社3年経ったので感想でも

ご無沙汰しております。

前回記事のAmanero Combo384接続基板ですが、

audio-diy.hatenablog.com

この界隈恒例の「寝かせる」という儀式の結果、

だいぶ様変わりしました。この模様はまた後日ここに記したいと思います。

 

さて、今回は、

思いの外反響が大きかったため書いてみたいと思います。


入社直後にわかる「深刻な状況」

実はAUDIY、電気設計として現在の職場に新卒入社してからちょうど3年を迎えたのですが、入社時に目の前に広がるのは異様な光景でした。

弊社は同じオフィス内にハードウェア(回路&機構)設計部署とソフトウェア設計部署が存在しますが、明らかに回路設計部署の平均年齢が高いことにひと目見て気づきます。

おそらく平均が40代後半から50代前半程度ではないでしょうか。ソフトウェア設計と比較して10歳ほど平均年齢は上になるかと思います。

そしていざ話を聞いてみるとAUDIYが入社した頃は「新卒採用を積極的に再開し始めてから3年」とのことでしたし、更には「新入社員より定年退職者が多くハードウェア設計の人数は減るばかり」という状況でした。

最近話題の「配属ガチャ失敗」とは思いませんでした(後述します)が、「とんでもない会社に来たな」と思ったのが入社直後の印象でした。


恐ろしく高いハードル

そんな回路設計部署に配属されたAUDIYですが、大学や大学院ではソフトウェア専攻だったのもあり、待ち構えていたのは「恐ろしく高いハードル」です。

 

弊社、現場での技術的な研修は基本的に設定されておらず、いわゆる「OJT」なのですが、「ESR」「カスコード」「位相補償」「負帰還」とかさっぱりわからないままOJTなので作る回路が「ゴミ」なのです。今でもゴミです。

 

そして更には業務時間中は先輩が各々の業務で忙しく、AUDIYは放置プレイで雑用を依頼されるという状況です。まぁ「雑用を依頼される」というのは新入社員全てにとってそうだとは思いますが、業務時間中に放置を喰らうと言うのはさすがに危機感を覚えました。(無論ですが、ボーッとはしてたわけではなく電気回路・電子回路を座学で勉強し直してましたよ。)

 

どこもそうだとは言いませんが、「OJT」を謳うハードウェア設計は裏返して言えば「設計技術を教える余裕すらないのをOJTという名目で誤魔化している」可能性があるということは今後回路設計を目指す学生は把握しておいても良いかもしれません。

 

こんな状況にしてしまうのなら理系で一括に採用せず専攻分野ごとに絞ればよいのにとは思います。(別分野で食わせてもらってる身で言うのもなんですが今でも思ってます。)


「配属ガチャ失敗」ではないのが最大の救い

ただこの場で伝えておきたいのは「就職先に失敗したな」とか「配属ガチャ失敗だったな」とは思っていないと言うことです。

弊社、上記でも少し書いた通り、理系はいわゆる「総合職採用」(回路・ソフト専攻関係なく「設計」として入社します)なんですが入社前にやりたいことを聞かれて、配属部署についてはある程度その意向を汲み取ってくれます(確約ではないです)。

AUDIYはそこでFPGAやりたい!」と伝えまして、その結果FPGAもやってるハードウェア設計部署への配属になったというのが現状です。

 

お恥ずかしい話、それまでFPGAはソフトウェア部署で設計しているものだとばかり思ってました。ここは率直に私の企業研究不足の結果です。

 

そして希望通り(私にとってハードルの高い回路設計をしながらではありますが)FPGAを用いた設計を色々できていますし、これができていることが業務を続ける最大のモチベーションにもなっています。


入社2年目にして炎上案件

話がだいぶそれましたが2年目に差し掛かる少し前から設計に本格的に携わるようになります。

そしてこれが後の「炎上案件」になるなんて、当時の自分はまだ知る由もありませんでした。

しかしその傾向はすぐに分かるようになります。

 

まず、「大量の部品が入らない」

これは当時コロナ禍による半導体不足もあったので、どの案件の設計をするにしても巻き込まれていたと思います。

 

ここまではまだ良いとして

  • 電源レギュレータの納期が遅延している。担当案件で置き換えてほしい。
  • FPGAが入らない。担当案件で置き換えてほしい。
  • その他特定用途ICが入らない。担当案件で置き換えてほしい。
  • 汎用ロジックICが入らない。担当案件で置き換えてほしい。

と、置き換えを繰り返した結果設計が遅れに遅れます。
さすがに変だと思い率直に上司に「なんかやけにうちの担当だけ置き換え依頼多くないですか?」と聞いたら衝撃の回答でした。

マーケティング側における担当案件の優先度が低くて半導体不足のしわ寄せが集中している(≒置き換えた分を優先度の高い他の案件に回している)」

 

・・・・・(・・;)

 

いくら経営判断とはいえ「続ける必要あるのか」「優先度低いなら供給の回復を待って設計再開でも良いのでは」とは正直思ってしまいました。

 


さらに闇深い3年目

まぁそんな中設計を続けていくわけですが、更に炎上に追い打ちを掛けてきます。

  1. 一緒に回路設計担当していた延長雇用の先輩が契約更改せずに退職
  2. 機構設計の先輩が別部署異動(最初から関わってる設計担当が私だけになる)
  3. AUDIYが新入社員担当になる

・・・・・いやいやどうやれと???????????

そりゃこの記事冒頭でも書いた通り「新入社員に教えている暇は無い」のも頷けます。

 

私が入社した当時のように新入社員の後輩にも回路設計の軽い演習くらいはしてあげたかったんですが、そこまで回せなかったことを大変申し訳なく思っています。

 

そんな中で(残業時間の多さをを詰められつつも)なんとか炎上案件の設計を終えたわけですが、そこで上司から言われた言葉が

「今になって正しい設計ができていなくて残念です。」

 

一発目の設計でそこまで求めるなら新卒採用なんてせずに中途をバンバン雇ったらどうですかね・・・・・

このときが業務に対するモチベーションは消えましたし、転職を考え始めたきっかけでもあります。


4年目となった今

なんと、上の心ない発言をした上司と一緒に次の案件の設計をしています。

上司が求める「正しい設計」とは何なのか、しっかりと教えていただこうではありませんか!!!!!!!

 

ここですぐ辞めたら自分にとっても癪ですしね。

 

と同時に、炎上案件でできなかったことも盛り込んでより良い回路に仕上げていきたいです。(あまり大きな声では言えませんが炎上案件の最終形態はハリボテ同然となってしまいましたので・・・・)


転職どうすんの?

転職そのものについては現在も考えています。

ただ、私のように入社3年とかそこらだと中途採用というより第二新卒(もしくはそれに近い状態)での採用の市場が広いらしく、

関係からボコボコスカウトが来ている状況です。

正直転職サイトで調べるより自らもう少し企業や分野を絞ってその企業の中途採用に応募したほうが安全な気がしていますね。ここは調査を継続する必要があると考えています。


総括

とまぁここまでの経験から過去の自分に言いたいこと(≒異分野から回路設計新卒採用を受ける人もしくは配属される人に伝えておきたいこと)を書いておきますと

  1. 専攻をそのまま職業にしたいなら「理系総合職採用」は調査を念入りにしておいたほうが良い
  2. 未経験から回路設計に配属できる企業には相応の理由があるという認識を持っておいたほうが良い
  3. 職務経歴書や履歴書の随時改訂等の転職準備は少しでも可能性があるなら進めておいたほうが良い
  4. 転職は分野が絞れているなら転職サイト使うより企業のキャリア採用を使ったほうが良い(ここは「気がする」レベルです)
  5. 上記4つに加えやりたいことすらさせてくれない(配属ガチャ失敗)ならすぐに転職に動いたほうが良い(間違いなく自分より神経すり減らすと思います。)

という感じです。

 

なんかほとんど現職の愚痴っぽくなってしまいましたが、新規デバイスの立ち上げ含めFPGA設計に関われているのは大変うれしいですし、最近部署の再編がありましたので今後どの程度環境が改善されるかは楽しみにしているところです。

あとソフトウェア設計や機構設計は週~月に1回集まって定期的に勉強会開いてるんですが、回路設計はできていないのでそのあたりもやってみたいですね。(私みたいなゴミ回路生成機が教えてもなんなので私は受講する側で。w)

 

以上です。

また社会人経験5年を迎えた頃に改めて書ければと思います。